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三日月のうた

三十一文字とそれにおさまりきらないこと。「ことば」について考える日々。記事のタイトル≒短歌のお題 です。

100って。~後編~

すきですすきですすきですと言っても届かない想い 蕾のままで

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 前回から引き続き

#7days100tanka 

~7日間で100首の短歌を詠む~の

後編になります。

 

「数」と絡めるのがむずかしかった面

ちょっと無理のあるのもありますが…

どうぞお付き合いください。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

51.
むずかしい ことばをつかう ことじゃなく やさしい ことばで つたえる ちから

51 = 語彙とか語彙力とかのこと(ごい) 

あくまでも私のひとつの考えですが。

できたらいいな、といつも思っている。

 

52.
いつになく笑顔はじけていた君はあの日のままに笑ってますか

 52 = いつに

 

53.
アイビーの葉っぱの影におんぶバッタかくれんぼする燃えるゴミの日

53 = ゴミ

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54.
山を歩き街を走ったその足の裏を洗って全部忘れて

54 = ゴシゴシ洗うイメージで(ごし)

 

55.
しあわせは551の豚まんがある時ない時関係ないし

55 = 551蓬莱の豚まん

美味しいですよね~。いや、ある時は「しあわせ」だし。

youtu.be

 

56.
喉元を鳴らすだけでは物足らず擦り寄ってくる君んちの猫

 56 = 喉をゴロゴロならしてる(ごろ)

 

57.
五七調七五調との違いなどわからなくても歌は詠めます (たぶん)

57 = 五七

五七五七七に合わないのを「破調」などと言うらしく「破調はキライ」などと公言される方もいらして「字余り」や「句またがり」 の多い私はごめんなさい。。という感じ。でも歌だし。

字余りなんて裏拍で入れば…(*´Д`)イケル!イケル!なんて。。

 

58.
御破算で願いましては 新しい願いの前に白紙に戻す

 

58 = 御破算(ごはさん、ごわさん)

そろばんで、新しい問題にうつるときに「御破算で願いましては~」と言われたら

チャッ!っとそろばんの玉を全部下にさげて、一番上の列の玉をチャラララ~と上に上げる動作(そろばんをされる方は当たり前なことでしょうが)が面白くて。前の問題はチャラにするイメージ。

ちなみに私は小さい頃、地元のお寺の集会所でやっていたそろばん教室のあとの絵画教室に通っていて、そろばん教室が終わるのを待つ間「御破算で願いましては~」をずっと耳で聞いていただけです。。計算とかニガテ!

 

59.
ご苦労さん 誰にも言えないその秘密一人で抱えてきたんでしょう

59 = ご苦労(ごくろう)

 

60.
あたたかい手を差し伸べてまた生まれ変われる赤いちゃんちゃんこ着て

60 = 60歳の還暦祝

 

61.
朝起きて昼ごはん食べ夜風呂に入るときでも無意識に君

61 = 無意識(むいしき)

 

62.
きみもきみも唯一無二の人だから手を繋ごうよ片方あいてる

62 = 唯一無二の「むに」

 「人には二つの手があります。一つは自分を助ける手。もう一つは他人を助ける手。」ということばから。

 

63.
無意味って決める前にはただのヒトただそれだけのただの生きもの

63 = 無意味(むいみ)

 

64.
居所が悪いとか好かんとかあるし忙しいから息も絶え絶え

64 = 虫(むし)のこと。

虫の居所が悪い、虫が好かない、虫の息

虫って忙しい。

 

65.
空の向こう川の向こうにいるはずの君が遠くて橋から背伸び

65 = 向こう(むこう)

 

66.
ろくろ首ハイボール飲んでしゃっくりをしてたよちょっとひっくり返って

 66 = ろくろ首

ろくろ首が酔っ払ったらどうなるかなー?と思ったり。

 

67.
虚しさは重い荷物がなくなって空っぽになる  でも空気ある

 67 = 虚しさ(むな)

空気があれば息はできるしね。

 

68.
むやみやたら言葉並べてみるものの君の言葉は貰えないでいる

68 = むやみ

このあたり…苦しかったな。

片想いです。

 

69.
この人生ろくなことない気がしてた。君とのアレはよかったよ。うん。( ゚ー゚)ウ ( 。_。)ン

69 = ろくな 

いや、もうこれが精一杯。

 

70.
なるようになれなるようにしかならないなにもなくてもなにもしなくても

70 = なれ で 7(な)と0(れい)

 

71.
これ以上もう会うことはないなんて出逢ったあとに言わないでくれ

71 = ない

 

72.
お土産はコインロッカーに入れたから何もいらないもう帰るから

72 = なに

 

73.
夕凪のまだ日の沈むすこし前波の音だけ君に届け

73 =波(なみ)

 

74.
山の斜面軽トラに乗り風を切るもぎたてを齧る梨園(なしえん)の夏

74 = 梨(なし)

 

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▲夏の思い出。

 

75.
昔から好きな数字は7と5で 生まれましたよ7月5日

75 = 7月5日生まれ。

 

76.
なむなむとのんのんさまとあと誰に手と手合わせてシワとシワ合わす

76 = なむなむ(南無)

小さい頃、お仏壇に手を合わせるのに「のんのんさまのんのん」と言って合わせてました。「のんのんさま」は小さい子が言う「仏様」のこと、「のんのん」は「南無南無」と一緒です。「ののさま」「まんまんちゃん」など地域によっていろいろな言い方があるようです。

 

77.
ナナという名前のつく子はそこらじゅう花まる付けてお水をあげて

77 = ナナ

ナナと付く名前の子を何人か知っているけれど、みんな周りにいいもの振りまいている気がします。

 

78.
雨が降る三月の空灰色の雲だけにそっと悩み打ち明け

78 = 悩み

 

79.
ユリカモメ枯れた蓮の葉夕暮れの不忍池いつまでもなく

79 = なく

この場合、ユリカモメの「鳴く」、かなしいときの「泣く」、いつかなくなってしまう「無く」を掛けているつもり。

ユリカモメは冬の間だけ上野・不忍池にも訪れる水鳥です。

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不忍池のユリカモメ(脚が赤いのは成鳥。黄色は幼鳥。)

 

80.
桃源郷みたいに遠い君の街天気もちがう晴れのちくもり

80 = 晴れ

 

81.
名を呼べば「はい」ときちんと返事するそんなあなたも既読スルーする

81 = はい

 

82.
蜜蜂の巣に女王ははにかんで微笑むけれど二人はいらない

82 = はに

蜂蜜の「ハニー」と蜂の巣の「ハニカム構造」と、「はにかむ」。

 

83.
抑えてもおさえてもなおはみ出したこの感情の行きどころなし

83 = はみ出し(はみ)

 

84.
はしばしに君が存在する中で渡れずにいるこの川の流れ

84 = はし

端々(はしばし)の「はし」と川にかかる「橋」

 

85.
おかあさんと一緒にいるのがいちばんと空から降りる天使の梯子

85 = 梯子(はしご)

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▲天使のはしご逆バージョン

 

86.
ハローハローこちらペンギン言っとくが飛べないんじゃない翔ばないんだよ

86 = ハロー

 

87.
離ればなれ君とは初めから遠い 花が咲いても風が吹いても

87 = 離ればなれ(はな)と 花

 


88.
おかあさん おかあさんって よばれたら わたしようやく おかあさんになる

88 = 母(はは)

 

89.
白状をするとわたくし薄情者 誰か押しボタン押してください

89 = 白状と薄情の「はく」

 

90.
暮れなずむ空は藍色橙色いつもの橋でいつも立ち止まる

90 = 暮れ

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91.
泣きながらなんでも食べる食いしんぼう だいじょうぶキミは生きていけるよ

91 = 食いしんぼう(くい) と「悔い」て泣いてるイメージ

 

92.
椿咲くコロボックルの国の春 お山でぴょこん 青蛙跳ぶ

92 = 国

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▲『だれも知らない小さな国佐藤さとる 著。青蛙はコロボックルの隠れ蓑。


93.
組み紐のまねっこでした君にあげたミサンガわたしだけ付けている

93 = 組み

 

94.
九十四それが最後の誕生日いつまでものこる生きた証に

94 = 94歳で亡くなった祖母のこと


95.
1995年まだテープに録音好きな歌も留守電も

95 = 1995年

 

96.
歩いてく走ってく自転車に乗る苦労する会いに行く 大好き

96 = 苦労(くろう)

 

97.
食いしんぼう食べなくなったらそれが合図タスケテタスケテ救難信号

97 = 救難信号(きゅうなん)

 

98.
悔しくて泣きながら唐揚げを揚げる深夜零時のスポットライト

98 = 悔しくて(くや)

 

99.
窓の外雲の形を追いかけて口だけ動くうわの空 九九

99 = 九九

 

 

100.
100年後もしもあなたに逢えたならまたこの歌をおくりますから

 

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~100首を終えて。~

もう、これは片想いですよ。

 

短歌を詠み始めたばかりの頃、安野光雅さんの『片想い百人一首』という本を読みました。

安野光雅さんと言えば絵が有名ですが。

 

いにしえの歌人への「片想い」だというその本は、小倉百人一首とともに、私の短歌の原点でもあります。

 

100首詠む間に、苦しかったことは、片想いの苦しさでした。

届かぬ想い。

「好き」と言っても受け入れてもらえないつらさ。

 

ゴールをしてもそれは変わらず。

 

それでも「好きです」と

ずっと歌い続けるのかもしれません。

 

最後まで読んでくださって

ありがとうございました。

 

 

片想い百人一首 (ちくま文庫)

片想い百人一首 (ちくま文庫)

 

 

だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1  (講談社青い鳥文庫 18-1)
 

 

#7days100tanka 前編はこちら▼

tamie7575.hatenablog.com