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三日月のうた

三十一文字とそれにおさまりきらないこと。「ことば」について考える日々。記事のタイトル≒短歌のお題 です。

春って。

 春が来る当たり前じゃない春が来て
 夏が来て秋がそして冬 来る

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明日は立春ですね。

 

今日は節分。

季節の分けめ。

 

みなさんは豆まきしますか?

恵方巻食べますか?

 

恵方巻の出始めの頃

丸かぶり寿司って名前だったんです。

 

その頃、デパ地下のお味噌屋さんの前の

お持ち帰り用のお寿司のお店でバイトしていて

(私の一番初めのバイト先はそのお寿司屋さんです。

 期間限定だったので、お味噌屋さんにはそこを辞めたあとスカウトされました。笑)

そこで見たのが初めてだったと思います。

 

恵方巻、お腹がいっぱいで苦しいけどやらずにはいられませんね。

ついつい食べてる途中でお話したくなっちゃいますけど。

 

ところで豆まきをするとき

みなさんのおうちには鬼が現れるんですか?

 

というのも

うちの実家は昔から

誰かが鬼の役、ということはなく

 

窓を開けて「鬼は〜外ぉ〜」

おうちの中に「福は〜内ぃ〜」

さっと窓を閉める。

 

玄関から一番遠いお部屋から

それぞれのお部屋を回り

最後に玄関の前に「鬼は〜外ぉ〜!」

玄関の中に「福は〜内ぃ〜!」

そしてさっと玄関を閉める。

(さっと閉めるのは鬼が入ってこないように。)

 

だったんです。

 

うちはそれが当たり前で

 

誰かが鬼の役、というのは

幼稚園などの行事やサザエさんなどのお話の中だけなんだと思ってました。

 

でもその「さっと窓閉め豆まき」(←ほんとはそんな名前ない)って

当たり前じゃなかったんだと

知ったのはわりと最近のこと。

 

おうちの誰かが鬼役をしてくれる

そんなサザエさん一家のような素晴らしいおうちがあるんだと

ずいぶん長く生きてきて知りました。

 

でもその「さっと窓閉め豆まき」が

あの出雲大社と同じ方式と知って

ちょっとうれしい気持ちもしました。

 

「さっと窓閉め豆まき」(←だからそんな名前じゃない)は

 

自分の内なる鬼を追い出して

福を呼び込む

 

そういう豆まきです。

 

誰かが鬼役をやらなくてもだいじょうぶ。

あぁ平和。

 

みなさんのおうちの豆まきって

どんなですか? 

 

炒り豆を撒くとか

落花生を撒くとか

お菓子を撒くとか。

 

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自分の当たり前だと思っていることが

他の誰かからみたら当たり前じゃない

 

そういうことはよくあります。

 

春が来るっていうのも

当たり前じゃないんですよね。

 

春って

冬の次に来ます。

 

でもそれって当たり前だけど

当たり前じゃないんです!

 

冬がなければ春は来ない。

 

どんなにハワイが常夏で素敵なところだとしても

ハワイには春が来ない。

 

ハワイには

春が来ないんです!!

 

当たり前ですが。

当たり前じゃないんです!!

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日本は

はっきりと四季があって

 

つらくて厳しい寒さを経験したからこそ

あたたかな春がうれしい。

 

凍りついていた水や地面が溶けて

やわらかな陽射しが降りそそぐとき

 

生きかえったような気持ちになるのは

そんな四季があるからこそです。

 

もちろん沖縄はゆるやかな冬で

北海道の冬は命の危険さえ伴う厳しい冬だけれど

 

その季節の移ろいが

豊かな感性や心持ちを育ててくれると

本当にそう思います。

 

変わっていくことが

よろこびになる。

 

芽が出て

花が咲いて

葉が出て

やがてその葉も枯れ落ちて

 

死んだように眠る。

 

でもまた芽が出る。

 

そんな当たり前だけれど

当たり前じゃない自然のいとなみが

 

当たり前だと思ってることは

当たり前じゃないんだよと教えてくれる

 

そう思います。

 

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ではではここで

お久しぶりの百人一首

 

忘れていたわけではありませんよ。

 

「春」に関係する歌をご紹介。

 

春過ぎて夏来にけらし白妙の
衣干すてふ天の香久山

 (持統天皇 小倉百人一首2番)

 

春が過ぎて夏が来たらしいな。

白い衣を干すという天の香久山では。

 

とか。

いきなり春ではなくて実は初夏を詠った歌でしたが。

 

 

君がため春の野に出でて若菜摘む
わが衣手に雪は降りつつ

 (光孝天皇 小倉百人一首15番)

 

あなたのために初春の春の野原で若菜を摘んでいると

着物の袖に雪が降ってきたよ。

 

とか。

こちらは七草のときにもご紹介。

 

 

ひさかたの光のどけき春の日に
しづ心なく花の散るらむ

 (紀友則 小倉百人一首33番)

 

光がおだやかでゆったりとした春の日に

どうして落ち着かず桜の花は散っていくのだろうか。

 

とか。

こちらの「花」は桜だそうで、もう少し先の

あたたかな春のようですね。

ちなみに桜は桜でもソメイヨシノではなくて

山桜の類のようですよ。

 

 

人はいさ心も知らずふるさとは
花ぞ昔の香ににほひける

 (紀貫之 小倉百人一首35番)

 

あなたはどうなんでしょう。

お心はわかりませんが

昔なじみのこの里では梅の花だけが

変わらずに美しく咲き香っていますよ。

 

とか。

こちらは「春」という言葉は使われていないのですが

この「花」は梅のことらしいので。

香るといえば梅でしょうか。

 

 

春の夜の夢ばかりなる手枕に
かひなく立たむ名こそ惜しけれ

 (周防内侍 小倉百人一首67番)

 

春の夜の夢のようなかりそめの手枕のために

つまらないかたちで立ってしまう浮き名が

口惜しいのですよ。

 

とか。

「春の夜の夢」は短くてはかないもの、をさす言葉とか。

短くてはかない行く末のわからないお誘い、と

いっているとかいないとか。

 

他にも

桜を詠った歌もありますが

それはまたちょっと先のお楽しみに。

 

 

 春って

 

あたたかくて

やわらかくて

やさしくて

気持ちがいいですね。

 

春って

 

たのしくて

うきうきして

うれしいですね。

 

春って

 

あたらしい季節。

冬を経験したからこそ感じる

たいせつな季節のひとつ。

 

良い春を。

 

 ハワイにはないものがある角の団地
 梅の盆栽捨てられた猫

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 君が泣き暗く凍える地の寒さ
 やわらかく手をにぎるのは春

 

お題「節分」