三日月のうた

三十一文字とそれにおさまりきらないこと。「ことば」について考える日々。記事のタイトル≒短歌のお題 です。

しあわせって。〜漫画『この世界の片隅に』を読んだよ。〜

あなたがいてわたしがいるそれだけのそんな小さなしあわせがある

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この世界の片隅にこうの史代双葉社

 

映画もロングラン上映されていて

もう観たよ

って方もいらっしゃるかも。

 

私は観たい観たいと思いつつも

なかなか映画の方は観に行けず

 

年明けにこちらの漫画を読みました。

 

映画では描かれなかった漫画での場面や

映画でしか観られなかった描写など

 

それぞれに良いところがあるようで

いずれ映画は観たいのですが

 

ひとまず漫画の感想など

思ったことをつらつらと書いてみようと思います。

 

 

ひと言でいえば

よかった。

 

何が?とは

ひと言ではいえない。

 

だから

出来るだけこの作品に

直に触れていただきたい。

 

少しネタバレ的なところもあるので

それでも読んでもいいよって方は

ちょっとお付き合いくださいね。

 

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映画が話題だけど、なかなか観に行けないのでこちらを。広島の呉が舞台の中心だけど、「また来てつかあさい」は父の故郷鳥取と同じ言葉。 「ええが」の「が」は「具合」のことだったのか。話し言葉と違う目からの言葉でも、聞いたことのある言葉の響きが懐かしい。 やさしくて愛しい物語。みんなこんなほっとする話を求めてるってことかな。続きが楽しみ。

こちら上巻、読後直後の私の感想メモ。

 

上巻のはじまりは

昭和9年。

(あ、たこ焼きは昭和10年。この頃か…)

 

序章。

広島に住む主人公・すず の

まだ子どもの頃のお話から。 

 

おつかいに行ったり

薪でお風呂を沸かしたり

海苔を作るおうちのお手伝いをしながら暮らす

昭和初期の生活が

 

当たり前のようでいて

当たり前じゃなく。

 
主人公のすずちゃんの

のんびりとした感じ。
ほのぼのとしたあたたかさ。

 

そう。
いつの時代もこんなやさしい気持ちで
暮らしたい。

 

そんなささやかな願いを感じるはじまり。

 

上巻後半

昭和19年2月

ろくに会ったこともない人のところへ嫁ぐ。

 

でも、すずさんはお嫁に行っても

のんびりやさんでマイペース。

 

これまた呉の人たちが

あたたかく見守ってくれる。

夫・周作さんはやさしい。

 

あぁ

千人針とか

野原の草を探しておかずにするとか

着物を開いてもんぺに仕立て直すとか

 

戦争はもう始まっている。

 

でも

しあわせって

 

毎日のささやかな出来事のことなんだと思う。

 

 

手のひらの竜胆の花咲く椀にリンと鳴る鈴ここに出逢ひし

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せつない。リンさんと夫・周作さんとのこと、水原さんとのこと。なんでこんなにせつないのか。それでもいつまでもほのぼのと暮らす主人公すず。みんながこんな優しい気持ちで暮らせたらいいのに。

中巻、読後感想メモ。

 

昭和19年7月から。

 

リンさんという すずさんが迷い込んだ遊郭で出会った女性。

幼馴染みの水原さんのこと。

 

戦争はどんどん進み

呉にも空襲がくる。

 

次第に生活も厳しくなるのに

それに反してみんながやさしい。

 

やさしいが故に

せつない気持ちにもなる。

 

やさしさって

せつなさと隣り合わせかもしれない

と書いたのはそのせい。

 

しあわせって

なに?

 

しあわせって

そこにもここにも

 

そう思って胸が締め付けられる。

 

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せつない…。下巻は一番せつない。当たり前だけど。この世界の片隅に、出逢いが大切かもしれないけれど、それを育てていくのも大切。失ってからでは遅い。愛の物語。

 下巻読後感想メモ。原文のまま。

 

下巻は昭和20年4月から。

どんどん酷くなる戦争。

すずさんの身の周りでも亡くなる人も出てきて

失うものも…

当然ながら歴史上忘れることの出来ない事が起こる。

 

終戦の玉音放送を皆で聴き

納得がいかず

「知らんまま死にたかった」

そういって号泣する すず。

 

生きとろうが

死んどろうが

もう会えん人が居って

ものがあって

うちしかもっとらん

それの記憶がある

うちはその記憶の器として

この世界に在り続けるしかないんですよね

抜粋『この世界の片隅に』下巻 こうの史代 ; p.126

 

どうしようもないことに向き合って

自分を「 歪んどる」と思ってしまっても

 

そういって

自分の居場所を確認する すず。

 

この世界の片隅に

 

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上・中・下巻と

それぞれに少しずつ繋がる。

 

あの子はこの人

あの子はあの人に!

あの人はあの人だ!!

 

 

物語の端々に戦争が描かれているのに

どうしてこうも愛おしい気持ちが込み上げてくるのか。

 

愛おしい人

大切なこと

失いたくないもの

 

片時も離れたくないと思う。

 

儘ならない出来事に涙することがあっても

 

ありきたりな

当たり前のような

そんな生活が

 

かけがえのないものだと。

 

途切れ途切れでも

愛が

しあわせが

寄せ集めてあるこの世界が

 

私たちの居場所なのだと。

 

しあわせって

なに?

 

しあわせって

思い出すこと。

 

しあわせって

おぼえていること。

 

しあわせって

居場所があること。

 

そんなことを考えました。

 

 

映画を観た方も

漫画もいい!

 

漫画を読んだ方も

映画もいい!

 

そういう作品のようです。

 

何度も読み返したい漫画。

よかったらぜひ。

 

最後まで読んでくださって

ありがとうございました。

 

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しあわせは途切れ途切れの寄せ集め切れ端の愛ここにある愛

 

 

お題「最近涙したこと」