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三日月のうた

三十一文字とそれにおさまりきらないこと。「ことば」について考える日々。記事のタイトル≒短歌のお題 です。

暮れるって。

 明けぬれば暮るるものとは知りながら
 なほ恨めしき朝ぼらけかな

藤原道信朝臣 小倉百人一首52番)

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日が暮れて

この年も暮れていきます。

 

暮れるって

  • 日が沈み暗くなること。夜になること。
  • 季節や年が終わりに近くなること、もしくは終わること。

 

暮れる時間は少し

寂しいようでいて

 

でも静かに終えることができたら

 

それはそれで落ち着いて

夜を迎えられるような気がします。 

 

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夜になるところ、が

好きです。

 

ゆっくりと

徐々に

 

でも、確実に終わっていく昼が

夜に変わるとき。

 

彼は誰時(かわたれどき)は今では明け方のことを指すそうですが

もともとは誰かに会っても誰なのか名前を聞かなければいけないような

薄暗い夕方のことも指していたそうです。

 

そこから

誰そ彼時(たそがれどき)とも。

 

黄昏(たそがれ)は

一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯である。西の空から夕焼けの名残りの「赤さ」が失われて藍色の空が広がると、「まがとき=禍時」という時間帯に入る。黄昏時(たそがれどき)。黄昏る(たそがれる)という動詞形もある。

 とか。

 

日は沈んでしまっても

まだ「夜」とはいえない時間です。

 

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昼でもない

夜でもない

そんな時間が

 

海の凪のように

じっとしている。

 

少し立ち止まって

 

誰かのことを想ったり

自分の中を見つめたり

 

そんな時間。

 

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ではここで

今年最後の「暮れる」に関係する百人一首の歌をご紹介。

 

冒頭にあげた

 明けぬれば暮るるものとは知りながら
 なほ恨めしき朝ぼらけかな

藤原道信朝臣 小倉百人一首52番)

 

夜が明ければまた日が暮れて

あなたに会えるとわかっていても

やはり恨めしいのですよ。

別れて帰る明け方は。 

「朝」に関係する歌でも登場)

 

の他に

 さびしさに宿をたち出でてながむれば
 いづこも同じ秋の夕暮れ

(良暹法師   小倉百人一首70番)

 

さびしさに堪えられずに住まいを出て辺りをみると

どこもかしこも同じにさびしい秋の夕暮れだよ。

 

とか

 

 風そよぐ ならの小川の夕暮れは
 禊ぞ夏のしるしなりける

藤原家隆   小倉百人一首   番)

 

風がそよそよと楢の葉に吹いているよ。

ならの小川の夕暮れはすっかり秋の気配だけど

六月祓(みなづきばらえ)のみそぎの行事だけが

夏であることのしるしだな。

 

とか。

 

当たり前だけれど

百人一首の歌が詠まれた時代にも

 

日が暮れて一日が終わる

そんな時間があったんですよね。

 

きっとその時の気持ちは

今の私たちと変わらないのじゃないかと

そう思ったりします。

 

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今回は年も暮れるということで

特別に

「暮れる」時に聴きたいおすすめの一曲もご紹介。

 

宇多田ヒカルさんの『人魚』です。

 

~シルクのブラウスが濡れるほど

 黄昏が胸の奥 滲んでしみる~

 

というところがあるんですよね。

 

それだけってわけじゃないのですが

よかったら。

 

ゆっくりと音楽を聴く黄昏も

いいものです。

 

人魚

人魚

 

 

今日、2016年大晦日の

私の住んでいるところの日没は16時37分。

 

わりと東の方なので

みなさんの住んでいるところと同じか

少し早いかも。

 

よく晴れていたので

いい黄昏の風景が見られました。

 

 

暮れるって

 

終わりでもあるけれど

次へ繋がる瞬間でもあります。

 

今年出逢えたご縁を

また来年も繋いでいけますように。

 

またお逢いできますように。

 

ありがとうございました。

 

 黄昏の頃に君をば想ひてし
 隔たりさへも全て溶けゆく

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   明けたとて暮れても君に逢へずとも
   君を想ひし日々は暮れずに

                                             

 

お題「年末年始の風景」