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三日月のうた

三十一文字とそれにおさまりきらないこと。「ことば」について考える日々。記事のタイトル≒短歌のお題 です。

川って。

 このまま川に流されて
 どこまでも漂いながら辿り着きたい

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 なにもかも受け止めてやるどんとこい
 川は涙で母は海なり

 

川は流れてどこどこ行くの。

 

川って

どこにつながっているんでしょう。

 

海につながっているんですよね。

 

ここは海なし県だけど

それでもずっと先は海に。

 

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この水も海に。

いつか海につながっている。

 

海は見えないけれど

そう思うと

 

ずっとこのまま流れていきたい

そう思ったりします。

 

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今回は

小倉百人一首で「川」という言葉が使われている歌をご紹介。

 

 筑波嶺の峰より落つる みなの川
 恋ぞつもりて 淵となりぬる

   (陽成院/陽成天皇 小倉百人一首13番)

 

 筑波山から湧き出て流れくるみなの川。

 川の水が溜まってやがて淵となるように

 私の恋もいつの間にか深くなってしまったよ。

 

とか(「恋」の歌でも登場)

 

 ちはやぶる 神代も聞かず 龍田川
 からくれなゐに 水くくるとは

   (在原業平朝臣 小倉百人一首17番)

 

大昔の神代にも聞いたことがない

龍田川に紅葉が豊かに散って流れていて

川の水を紅色のしぼり染めにするなんて。

 

とか(漫画『ちはやふる』で有名)

 

 みかの原 わきて流るる いづみ川
 いつ見きとてか 恋しかるらむ

   (中納言兼輔/藤原兼輔 小倉百人一首27番)

 

 みかの原を分けて湧き流れるいづみ川のように

 いつ見たという逢ったこともないあなたが

 どうして恋しいんだろう。

 

とか(同じく「恋」の歌で登場)

 
 山川に 風のかけたる しがらみは
 流れもあへぬ もみぢなりけり

   (春道列樹 小倉百人一首32番)

 

 山と山のあいだの狭い谷川。

 風が川面に紅葉を散らしていくと「しがらみ」のようになり

 流れようにも流れられない紅葉だなぁ。

 

とか(「風」の歌で登場)

 

 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに
 あらはれわたる 瀬々の網代

   (権中納言定頼/藤原定頼 小倉百人一首64番)

 

 夜がほのぼのと明ける頃、宇治川の霧がとぎれとぎれに晴れて

 その切れ目からだんだんとあらわれてくる川の浅瀬の網代木だよ。

 

とか

 

 瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の
 われても末に あはむとぞ思ふ

   (崇徳院 小倉百人一首77番)

 

 川の流れがはやくて岩にせきとめられた急な流れが

 分かれてもまた合流するように

 愛しいあの人と別れることがあっても

 また逢おうと思っている。

 

とか

 

 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは
 みそぎぞ夏の しるしなりける

   (従二位家隆/藤原家隆 小倉百人一首98番) 

 

  風がそよそよと音を立てて楢の葉に吹く

 ならの小川の夕暮れどきは

 みそぎの行事だけが夏のしるしなんだな。

 

とかとか。

 

全部で7首でした。

 

この小倉百人一首に出てくる「川」は

実際に今も残っていて

 

13番の「みなの川」は

今の茨城県の男女川のこと

 

17番の「龍田川」は

奈良県にある竜田川

 

27番の「いづみ川」は

京都府南部の木津川のこと

 

32番の「山川」は

京都から滋賀の大津に抜ける「志賀の山越え」ルート

比叡山の南の麓と如意岳をぬっていく山道での

途中の川で詠まれたとか

 

64番の「宇治の川」は

もちろん京都の宇治川

 

98番「ならの小川」は

京都上賀茂神社の境内を流れる

御手洗川のことだったりして

 

 

1000年の時を超えて

今を生きる私たちにもその歌の情景を感じられる

 

なんとも不思議な感覚のするものです。

 

ずっとずっと昔もそこにあって

その景色を美しいと思っていた人がいて

 

同じように今の私たちでも感じることができるんですよね。

 

 

実は今年の夏

むすめの夏休みの自由研究もかねて

いくつかの歌枕(歌に詠まれた土地)を訪れたのですが

 

京都の上賀茂神社の夕方の境内には

本当にそよそよと風が吹いていて

8月だけれど夏の終わりを感じた貴重な体験でした。

 

そのおかげか

この歌はよく覚えていて

カラダに染み込んでいる

そんな気がします。

 

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川って

 

そういう意味でも

つながってるんだな

 

と思ったりして。

 

また歌枕

訪ねてみたいです。

 

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 渡良瀬の川にかかった橋からの
 夕陽 何度も口ずさむ歌