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三日月のうた

三十一文字とそれにおさまりきらないこと。「ことば」について考える日々。記事のタイトル≒短歌のお題 です。

時間って。

 おそいとか はやくかんじる なんでだろう
 そぼくなぎもんを なげかけるきみ

 

 ほんとうに ふしぎだね ひとの かんかくは
 かんじかた ひと それぞれちがう

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 あなたとの じかんはすぐに すぎてゆき
 あっというまに おわかれのとき

 

時間って

どうして早く感じたり

遅く感じたりするのでしょう。

 

楽しいときは

あっという間に

退屈なときは

なかなか過ぎずに…

 

子どもでもそう感じるのです。

 

なぜでしょうね。

 

それから、歳を取ると一年一年

過ぎるのが早く感じる。

 

ふーむ。。

 

そして、私はここのところ、ニガテだった歴史をどうにかこうにか調べていると

1000年以上昔、百人一首平安時代より遡ったりすると

もはや明治やらはごくごく最近のことのように思えたりもしたりして。

 

時間って

何なんでしょうね。

 

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私が時間について

一番初めによく考えてみたのは

 

たぶん、ミヒャエル・エンデ『モモ』

読んだときだと思います。

 

私が初めてモモを読んだのは

小学5年生の時。

 

もう30年近く前のことになりますが

 

うまく説明できないけれど

何かとても大切なことが書かれている

 

そう感じたのを

よく覚えています。

 

『モモ』には

今、この大人の私が読み返してみても

 

びっくりするというか

 

むしろ

大人になった今の方が

胸に響くようなことばが書かれていました。

 

 

かなり有名な物語で

ずいぶん昔のことですが映画化もされているので

 

話の内容は知っているよ

という方も

たくさんいらっしゃることと思います。

 

全然知らない、という方も

忘れちゃったな、という方も

いらっしゃるかもしれないので

少しだけ。

 

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主人公のモモは女の子です。

身寄りがなく、一人で、ある街の古い円形劇場に住み着いていました。 

 

小さなモモができること、

それは、人のはなしを聞くことでした。

ただそれだけ。

でも、それが必要でした。

 

モモの親友のおじいさん道路掃除夫ベッポ、観光ガイドのジジ、街の子どもたち。

みんながモモを必要としていて、モモと大切な時間を過ごしていました。

 

時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。

なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。

出典:ミヒャエル・エンデ『モモ』(1976);大島かおり訳(2005)岩波少年文庫127;p.83

 

そんなところへ

時間どろぼうが現れます。

 

時間どろぼうは

時間貯蓄銀行の外交員として

街の人たちに

人生の無駄な時間を倹約するように勧めます。

 

そして、時間貯蓄銀行に時間を貯蓄しなさい、と。

 

たとえば床屋のフージーさんにはこうです。

 

仕事にかける時間。お客さんとのむだなおしゃべり。

年よりのお母さんと過ごす時間。

ペットのセキセイインコにかける時間。

想いを寄せるダリア嬢に花を届ける時間。

夜寝るまえにその日のことを考える時間。

歌や本、友だちづきあい・・・

 

そんな時間をなくして効率よく過ごしなさいと。

 

フージーさんは時間を倹約してすごします。

毎日毎日があっという間に過ぎていきます。

だけれど、時間が貯まっていく、そんなことはありませんでした。

 

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人間に時間を倹約するように勧め

人間の時間を盗み

その後の人間がどうなったか。

 

主人公モモが大切にしていたもの。

 

時間って。

 

もうお気付きでしょう。

 

その時間が無駄かどうかは

その時間の持ち主ひとりひとりが決めることです。

 

ある人には無駄だと思える時間も、ある人には大切な時間です。

 

人間はひとりひとりがそれぞれじぶんの時間をもっている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ。

 出典:同上p.225

 

時計というのはね、人間ひとりひとりの胸のなかにあるものを、きわめて不完全ながらもまねて象ったものなのだ。光を見るためには目があり、音を聞くためには耳があるのとおなじに、人間には時間をかんじとるために心というものがある。そして、もしその心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないもおなじだ。

 出典:同上p.236

 

時間どろぼうに盗まれた

友だちの時間を取り戻し

友だちの心を取り戻すために

 

モモはひとりで時間どろぼうに立ち向かいます。

 

どうやってモモが

時間どろぼうから時間を取り戻したか、

詳しい内容と結末はやはり、本を読んでいただくのが一番!とは思うのですが

 

『モモ』に書かれているのは

 

時間って

「生きること、そのもの」だということ。

 

私も

あなたも

 

時間を

心で感じて

過ごすことができているでしょうか。

 

楽しい時間を過ごしているでしょうか。

 

夢見る時間はあるでしょうか。

 

仕事への愛情をもって働いているでしょうか。

 

それぞれの暮らしを工夫して

自分らしい生活ができているでしょうか。

 

『モモ』はそんな疑問を投げかけてくれています。

 

もし興味を持たれたら

もし忘れてしまっているようだったら

 

『モモ』を読まれてみると

いいかもしれません。

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それから。

 

大切な何かをなくしたとき

大切な誰かを失ったとき

 

「時が止まったまま」になることがあります。

 

それは

そこで、心が感じなくなってしまったから。

 

心が感じるまで

立ち止まってもいいと思います。

 

モモがそうしてくれたように

その時が来るのを

じっと待ってみるのも、いいと思います。

 

そうして

そのことを心が感じるようになったら。

 

その時間はきっと

無駄ではないと思うのです。

 

その人にとっての

あなたにとっての

私にとっての

 

大切な時間は

自分自身が感じることです。

 

それがきっと

生きていくということだから。

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 あれからもう
 今日が一体 何日か
 何日経ったか よくわからない

 

 

 

モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))

 

 

 

モモ 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語

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