三日月のうた

三十一文字とそれにおさまりきらないこと。「ことば」について考える日々。記事のタイトル≒短歌のお題 です。

風って。

 ぐんぐんと 前だけを見て 進んでく
 あなたは風に ホントの風に

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風って。

 

目には見えないですよね。

 

木々が揺れて

雲が流れて

 

風が吹いてるんだなぁとは思うけれど

 

それは揺れる木々であって

流れる雲であって

 

風の本当の姿ではないのかもしれないと

思っていたのですが。

 

以前にも少し、

目に見えないものって

見えるようにするには

ことば が必要なのかもしれないと思うと書いて

 

でもそれって

難しいんだよなぁとも

思っていました。

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少し前に、近畿地方では

木枯らしが吹いたとか。

 

春一番とか

台風とか

つむじ風とか

 

そよそよとか

ぴゅーぴゅーとか

 

私たちを取り巻く世界には

風にまつわる言葉がたくさんあります。

 

北から南から、西から東から

風が吹いています。

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私の住む関東平野では 

冬には空っ風が吹いて

ビルの間を吹くビル風があって

 

山に住んでいるなら

山おろしや谷風や

 

海の近くに住んでいるなら

浜風や風の向きが変わる時の凪や

 

そんなたくさんの風の言葉があって

言葉の数以上の風が吹いているんでしょうね。

 

あなたのいる場所には

どんな風が吹いていますか?

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風を切って

風を起こして

風のように

風をまとって

 

あなたが

風といって思い浮かべる風は

どんなですか?

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小倉百人一首の中にはやはり

「風」という言葉が入った歌があります。

 

何首ぐらいあるでしょう?

 

 天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
 をとめの姿 しばしとどめむ

  (僧正遍照 小倉百人一首12番)

 

 吹くからに 秋の草木の しをるれば
 むべ山風を あらしといふらむ

  (文屋康秀 小倉百人一首22番)

 

 山川に 風のかけたる しがらみは
 流れもあへぬ もみぢなりけり

  (春道列樹 小倉百人一首32番)

 

 白露に 風の吹きしく 秋の野は
 つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

  (文屋朝康 小倉百人一首37番)

 

 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ
 くだけて物を 思ふころかな

  (源重之 小倉百人一首48番)

 

 有馬山 猪名の笹原 風吹けば
 いでそよ人を 忘れやはする

  (大弐三位 小倉百人一首58番)

 

 夕されば 門田の稲葉 おとづれて
 芦のまろやに 秋風ぞ吹く

  (大納言経信/源経信 小倉百人一首71番)

 

 秋風に たなびく雲の 絶え間より
 もれ出づる月の 影のさやけさ

  (左京大夫顕輔/藤原顕輔  小倉百人一首79番)

 

 み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて
 ふるさと寒く 衣打つなり

  (参議雅経/藤原雅経 小倉百人一首94番)

 

 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは
 みそぎぞ夏の しるしなりける

  (従二位家隆/藤原家隆 小倉百人一首98番)

 

それぞれの意味は今回は触れずにおくとして

聞いたことのある歌はありましたか?

 

実は、小倉百人一首で「風」という言葉を使った歌は

全部で10首あるんです

 

100首のうちの10首ですよ?

かなりな確率ですね?

 

ざっとみて

秋を思わせる風が半分以上ある感じです。

 

そして、これは

「風」という文字を使っているかどうかだけなので

 

これに「嵐」も入れるとしたら+2首 

他にも「山おろし」「夕なぎ」など

風に関係する言葉も入れるとしたらもっとあるということになります。

 

また「花の散るらむ」など、風が吹いていたんじゃないだろうかと

思わせる歌も。

 

「風」を歌に詠むことで

 

その風の吹く情景が

そこに立って風に吹かれる人の心情が

伝わってくる気がします。

 

 

風って

 

1000年以上も昔から、私たちの身近にあって

移ろいゆく季節を表現する

大切なものだったのかな

と思います。

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私自身、「風」という言葉に思い入れがあって

実は、むすめの名前にも「風」という文字を使っています。

 

むすめがまだお腹にいるとき

いつも、いい風が吹いていました。

 

きっとこの子は、いい風を運んできてくれる

そんな子なんだなと

勝手に思って

勝手に名前に「風」という文字を入れることに

決めていました。

 

だからというわけでもないのですが

私の詠む短歌には、「風」という言葉がやはり

少し多く登場するような気がします。

 

そうそう百人一首とも、うちのむすめとも全く関係がありませんが

ジブリ映画『風の谷のナウシカ』も

風は大切な役目をしていますね。

 

この世界から

風がなくなったらどうなるのでしょう。

 

風って

どこからきてどこへ行くのか

わからないこともたくさん。

 

そして

 

風って

やさしいものだけでなく

時に

自然の厳しさも

運んできたりもします。

 

でもきっと

 

風って

なくてはならないものだと

思うのです。

 

明日はまた

いい風が吹きますように。